[問01-10]平成28年度春期ITパスポート試験解説

平成28年度春季ITパスポート試験

問01-問10

H28年度ITパスポート[01-10]

H28年度ITパスポート試験の過去問題[問01-10]です。
過去問題はITパスポート公式ホームページよりダウンロードすることができます。

問01
連結会計システムの開発にあたり、機能要件と非機能要件を次の表のように分類した。aに入る要件として、適切なものはどれか。

機能要件 非機能要件
・国際会計基準に則った会計処理が実施できること。
・決算処理結果は、経理部長が確認を行うこと。
・決算処理の過程を、全て記録に残すこと。
・最も処理時間を要するバッチ処理でも、8時間以内に終了すること。

a

・保存するデータはすべて暗号化すること。

[ア]故障などによる年間停止時間が、合計で10時間以内であること
[イ]誤入力した伝票は、訂正用伝票で訂正すること
[ウ]法定帳票以外に、役員会用資料作成のためのデータを自動抽出できること
[エ]連結対象とする会社は毎年変更できること
機能要件と非機能要件についての質問です。

画面に何を表示するのか、何をどう処理するのかなど、業務それ自体に必要な要件を「機能要件」といいます。使いやすい、壊れにくい、修理しやすい、初心者でも学びやすいなど機能以外の要件を「非機能要件」といいます。

機能要件を満たしていても、すぐ故障してしまえば、業務を遂行することはできません。非機能要件では、機能要件で「できること」を、どれくらいの品質や速度で行えるかを定めます。

CHECK POINT
機能要件
業務を実現するのに必要な”機能”の要件を明らかにする。
非機能要件
業務を実現するのに必要な”機能以外”の要件を明らかにする。

問02
不正アクセス禁止法で規制されている行為だけを全て挙げたものはどれか。

a Webサイトの利用者IDとパスワードを、本人に無断で第三者に提供した。
b ウイルスが感染しているファイルを,誤って電子メールに添付して送信した。
c 営業秘密の情報が添付されている電子メールを,誤って第三者に送信した。
d 著作権を侵害している違法なサイトを閲覧した。
[ア]a
[イ]a,b
[ウ]a,b,c
[エ]a,d

IDやパスワードなど他人のユーザ情報を入力して、アカウントに無断でログインすることを禁じています。またセキュリティホールへの攻撃や、これらを助長する行為を禁止しています。

選択肢アは、「なりすまし行為」の助長行為に該当します。選択肢エは、不正アクセス禁止法と関係がありません。選択肢イ・エなど問題文に「誤って○○した」が正解である可能性は低いです。

CHECK POINT
不正アクセス禁止法
他人のアカウントへの無断ログイン、セキュリティ脆弱性への攻撃およびこれらを助長する行為を禁止する法律。

問03
インターネットショッピングにおいて、個人がアクセスしたWebページの閲覧履歴や商品の購入履歴を分析し、関心のありそうな情報を表示して別商品の購入を促すマーケティング手法はどれか。
[ア]アフィリエイト
[イ]オークション
[ウ]フラッシュマーケティング
[エ]レコメンデーション

顧客に対して「関心のありそうな情報を表示する」のは、商品やサービスをおすすめするためです。オススメを意味する「レコメンデーション」が正解です。

CHECK POINT
レコメンデーション
検索履歴などの情報を活用して、顧客の関心がありそうな商品・サービスを優先して紹介すること。
アフィリエイト
成功報酬型広告。ブログに設置した広告を経由して、読者が商品を購入すると、その成果に応じて報酬が支払われる。
フラッシュマーケティング
まさしく光を一瞬放つかのように、ごく限られた期間でのキャンペーン活動によって集客・販売をする手法。

問04
健全な資本市場の維持や投資家の保護を目的として、適切な情報開示のために整備されたものはどれか。
[ア]クーリングオフ制度
[イ]製造物責任法
[ウ]内部統制報告制度
[エ]不正アクセス禁止法
CHECK POINT
内部統制報告制度
上場企業などが、事業年度ごとに報告に係る内部統制の適正性を評価した報告書を提出し、財務報告の信憑性を確保する。

問05
ERPパッケージの特徴として適切なものはどれか。
[ア]業界独特の業務を統合的に支援するシステムなので、携帯電話事業などの一部の業種に限って利用されている。
[イ]財務会計業務に限定したシステムであるので、一般会計処理に会計データを引き渡すまでの機能は、別途開発又は購入する必要がある。
[ウ]種々の業務関連アプリケーションを処理する統合業務システムであり、様々な業種及び規模の企業で利用されている。
[エ]販売,仕入,財務会計処理を統合したシステムであり,個人商店などの小規模企業での利用に特化したシステムである。
Enterpriseは企業、Resourceは資源なので、直訳で経営資源計画となります。経営資源とは、人、物、金、データなどです。ERPでは、これら経営資源を最適化し、無駄を削減することで経営を効率化します。
ERPは、様々な業種および規模の企業で利用できるのが特徴です。

CHECK POINT
ERP(Enterprise Resource Planning)
経営資源計画。経営資源の配分を最適化し、無駄を無くすことで経営を効率化する。

問06
情報システムの構築に当たり、要件定義から開発作業までを外部に委託し、開発したシステムの運用は自社で行いたい。委託の際に利用するサービスとして、適切なものはどれか。
[ア]SaaS(Software as a Service)
[イ]システムインテグレーションサービス
[ウ]ハウジングサービス
[エ]ホスティングサービス
問題文は、システム自体を他社に開発してもらって、完成したものを自社で運用するケースです。
このようにシステム開発作業の全てまたは一部を、一貫して請け負うサービスを「システムインテグレーション」といいます。

CHECK POINT
システムインテグレーション
システム開発作業のすべてまたは一部を、一貫して請け負うサービス。
SaaS(Software as a Service)
ソフトウェアをインターネット経由で、サービスとして提供・利用する形態。

問07
情報リテラシに該当するものはどれか。
[ア]PCの新製品情報、各機種の性能を知っていること
[イ]技術革新が社会に及ぼす影響を洞察できること
[ウ]業務に必要なデータを検索し、目的に合わせて活用できること
[エ]高度なプログラム言語を使ってソフトウェアを開発できること
CHECK POINT
情報リテラシ

情報を活用する能力のこと

問08
著作権法による保護の対象となるものはどれか。
[ア]アルゴリズム
[イ]操作マニュアル
[ウ]プログラム言語
[エ]プロトコル
コンピュータ関連で著作権が発生するのは、プログラムとデータベース、操作マニュアルなどです。
データベースは、情報の選択や検索機能など体系的な構成に創作性があるとして著作権の対象になっています。

問09
大手システム開発会社A社からプログラムの作成を受託しているB社が下請代金支払遅延等防止法(以下、下請法)の対象会社であるとき、下請法に基づく代金の支払いに関する記述のうち、適切なものはどれか。
[ア]A社はプログラムの受領日から起算して60日以内に、検査の終了にかかわらず代金を支払う義務がある。
[イ]A社はプログラムの受領日から起算して60日を超えても、検査が終了していなければ代金を支払う義務はない。
[ウ]B社は確実な代金支払いを受けるために、プログラム納品日から起算して60日間はA社による検査を受ける義務がある。
[エ]B社は代金受領日から起算して60日後に、納品したプログラムに対するA社の検査を受ける義務がある。
下請法は、下請け業者の利益の保護を目的としています。これには「親業者は、成果物受領後60日以内に支払代金の支払いをする」旨の定めがあり、親業者は成果物の検査の終了に関わらず、下請代金を支払う必要があります。検査はあくまで任意であるため、それを理由に支払期日を伸ばすことはできません。支払いが遅延した場合は、その利息を支払う義務もあります。

CHECK POINT
下請法
親業者の下請け業者に対する支払遅延や不当値引きを防止し、下請け業者の利益を保護する目的がある。
具体的な決まりとして、(1)親業者は成果物受領後60日以内に下請代金の支払をすること、(2)取引内容を2年間保存すること、(3)支払いが遅れた場合はその利息を支払うことなどがある。
問10
図のソフトウェアライフサイクルを、運用プロセス、開発プロセス、企画プロセス、保守プロセス、要件定義プロセスに分類したとき、aに当てはまるものはどれか。ここで、aと網掛けの部分には、開発、企画、保守、要件定義のいずれかが入るものとする。

[a]→[ ? ]→[ ? ]→[運用]→[ ? ]
[ア]開発
[イ]企画
[ウ]保守
[エ]要件定義

ソフトウェアライフサイクルは「企画」プロセスから始まります。
「企画」→「要件定義」→「開発」→「運用」→「保守」です。