[問11-20]平成28年度春期ITパスポート試験解説

平成28年度ITパスポート試験11-20

平成28年度春期ITパスポート試験の解説です。今回は問11から問20です。

問11-問20

H28年度ITパスポート[11-20]

H28年度ITパスポート試験の過去問題[問11-20]です。
過去問題はITパスポート公式ホームページよりダウンロードすることができます。

問11
CRMに必要な情報として、適切なものはどれか。
[ア]顧客データ、顧客の購買履歴
[イ]設計図面データ
[ウ]専門家の知識データ
[エ]販売日時、販売店、販売商品、販売数量
CRM(Customer Relationship Management)では、顧客と長期的な関係を築くために、満足度と利便性の向上を目指します。満足度向上の手法として、顧客の購買履歴から興味のある商品やサービスを優先して紹介する「レコメンデーション」などがあります。よって必要な情報は「顧客データ」です。

CHECK POINT
CRM(Customer Relationship Management)
顧客満足度と顧客ロイヤリティの向上を通して、売上の拡大と収益性の向上を目指す経営戦略/手法(Wikipedia)。

問12
A社の子会社であるB社では、A社の製品も販売している。A社とB社の当期の売上高、売上原価、売上総利益が表のとおりであり、当期のA社の売上高におけるB社への販売分が2,000百万円である。このとき、連結損益計算書における当期仕入高は何百万円か。ここで、A社はB社からの仕入はないものとする。

A社損益計算書(単位:百万円) B社損益計算書(単位:百万円)
売上高 20,000 売上高 6,000
売上原価 12,000 売上原価 3,000
-期首棚卸高 1,000 -期首棚卸高 1,000
-当期仕入高 13,000 -当期仕入高 3,000
-期末棚卸高 2,000 -期末棚卸高 1,000
売上総利益 8,000 売上総利益 3,000
[ア]11,000
[イ]12,000
[ウ]14,000
[エ]16,000
連結損益計算書は、大企業が決算書を作成するときに、その子会社などグループ会社の業績を連結・足しあわせて作成する財務諸表のことです。
問題では、親会社A社が子会社B社に2000百万円分販売したとありますが、これはグループ間の取引なので、連結をするとA社の売上とB社の仕入れとで打ち消しになります。
よって次のようになります。

A社損益計算書(単位:百万円) B社損益計算書(単位:百万円)
売上高 18,000 売上高 6,000
売上原価 12,000 売上原価 3,000
-期首棚卸高 1,000 -期首棚卸高 1,000
-当期仕入高 13,000 -当期仕入高 1,000
-期末棚卸高 2,000 -期末棚卸高 1,000
売上総利益 8,000 売上総利益 3,000

これが、グループ間取引を除外した損益計算書です。あとはこの当期仕入高を文字通り連結すると、13,000(A)+1,000(B)=14,000となります。

CHECK POINT
連結損益計算書
大企業が決算書を作成するときに、そのグループ会社の業績も連結して作成する財務諸表のこと。

問13
BPM(Business Process Management)の考えに基づいた業務改善に関する説明として、最も適切なものはどれか。

[ア]企業内のデータを統合し、これを用いて業務上の意思決定の支援を図る。
[イ]業務と経営資源を統合的に管理し、経営資源の活用方法の改善を図る。
[ウ]業務の実行結果などから業務プロセス自体を見直し,継続的な改善を図る。
[エ]業務プロセスの分業化を進め,作業効率の向上を図る。
BPMでは、企業全体としての業務の流れを分析し、経営目標にしたがって継続的にそれを改善・最適化します。「プロセス」「継続的な改善」がキーワードになります。

CHECK POINT
BPM(Business Process Management)
企業全体としての業務の流れを分析し、経営目標にしたがってそれを継続的に改善・最適化していくこと。

問14
紙に書かれた過去の文書や設計図を電子ファイル化して、全社で共有したい。このときに使用する機器として、適切なものはどれか。

[ア]GPS受信機
[イ]スキャナ
[ウ]ディジタイザ
[エ]プロッタ
紙媒体を電子化するために用いる機器は「スキャナ」です。消去法で答えを導くことができます。選択肢ウの「ディジタイザ」は、ペンタブレットのことです。

問15
技術開発戦略の策定に当たって、分析を行うために用いる技術ポートフォリオの説明として、適切なものはどれか。

[ア]技術水準や技術の成熟度を軸にしたマトリックスに、市場における自社の技術の位置づけを示したもの
[イ]自社製品の開発開始から損益分岐点に達するまでの期間、投資の累計、利益の累計などを示したもの
[ウ]自社で開発すべき技術の開発日程や到達目標、開発技術と新製品やビジネスプランとの関連などを示したもの
[エ]自社の保有する技術を要素技術に分解し、木構造の形式で体系的に示したもの
技術ポートフォリオでは、自社の技術水準やその重要度を軸にして、分析対象技術がその市場においてどのような立場にあるのかを分析します。これにより限られた経営資源を適切に配分することができます。

問16
企業がISO 9001を導入することによって期待できるメリットのうち、適切なものはどれか。

[ア]企業の貿易手続が標準化され、効率の向上や非関税障壁の減少につながる。
[イ]業界で技術仕様が標準化され、製品の品質の向上や市場の拡大が進む。
[ウ]情報資産の取扱方法が標準化され、情報セキュリティの品質が向上する。
[エ]品質管理に関する業務運営が標準化され、管理の質や効率が向上する。
ISO9001は、品質管理マネジメントです。これにより業務運営が標準化され、品質管理の質や効率を向上させることができます。
ISO(International Organization for Standardization)は、国際標準化機構のこと。

CHECK POINT
ISO9001 品質管理マネジメント
ISO14000 環境管理マネジメント
ISO27000 セキュリティ管理マネジメント

問17
SNSをマーケティングに活用した事例として、最も適切なものはどれか。

[ア]インターネットで注文された商品の引渡しとその代金の受取りを支障なく行う。
[イ]書込み機能を利用して、登録会員に自社商品の評価内容を記載してもらう。
[ウ]検索エンジンによる検索結果の上位に自社サイトを表示させて、訪問者増を狙う。
[エ]同業他社よりも安い価格を設定して、顧客の購入意欲を高める。
今日の消費者は、商品の購入を検討する段階になると、それを実際に使っている人の感想などをネットで探します。これまではそうした評価は、企業と顧客とのクローズドなやりとりでしたが、評価を公表することで見込み客に安心感を与えることができます。

CHECK POINT
SNS
Social Networking Serviceの頭文字。社会的ネットワークの構築できるサービスやウェブサイトのこと。TwitterやFacebookがその典型。
SEO
Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)の頭文字。自身のウェブサイトを検索一覧の上位に表示させるための技術的工夫。1ページ目に表示されるか、2ページ目に表示されるか、また1ページ目でも上位に表示されるか否かで閲覧数が大きく異る。ネットビジネスなどではSEO対策が必須事項になる。

問18
組立生産される製品W,X,Y,Zの1個当たりの利益,1個当たりの組立作業時間,組立作業1分当たりの利益,1週間の最大生産可能数は表のとおりである。1週間の利益を最大にするように生産計画を立てるとき,製品Zの生産個数は幾つか。ここで,1週間の総組立作業時間は40時間であり,製品W,X,Y,Zの全てを生産する必要はなく,同時には一つの製品しか組立生産できないものとする。

一個当たりの利益
A(千円)
一個あたりの組立作業時間
B(分)
組み立て1分あたりの利益
C=A/B
1週間の最大生産可能数
D(個)
製品W 50 20 2.5 40
製品X 60 40 1.5 50
製品Y 90 30 3 20
製品Z 100 50 2 45
[ア]0
[イ]8
[ウ]20
[エ]45
時間あたりの利益が高い製品から順番に作れるだけ作れば、結果的に最も高い利益を実現することができます。「組立作業1分あたりの利益」を見ると、Y>W>Z>Xの順番なので、この通り生産していきます。

まずYを最大生産可能数20個製造します。組み立て時間は30分/個なので、20×30=600分。制限時間40時間を分単位に直すと2400分なので、2400-600=1800分が残り時間です。次にWを最大生産可能数40個製造します。組み立て時間は20分/個なので、40×20=800。1800-800=1000分。
次に利益率が高いZを同じく最大生産可能数まで生産しようとすると、2250分掛かってしまいます。なので残り時間1000分で作れるだけ作ります。組み立て時間は50分/個なので、1000/50=20個です。これで制限時間になります。質問ではこのZの生産個数を聞いているので、20個が正解になります。


問19
小売業を営むある企業の当期の売上高は1,500万円、商品仕入高は1,000万円であった。期首の商品棚卸高が100万円、期末の商品棚卸高が200万円であるとき、当期の売上総利益は何万円か。

[ア]200
[イ]400
[ウ]500
[エ]600
売上総利益を求める問題です。
売上総利益は、売上高-売上原価で求められます。問題には、このうち売上原価がないので、商品仕入れ、期首商品棚卸高、期末商品棚卸高から計算する必要があります。
売上原価は、期首商品棚卸高+商品仕入高-期末商品棚卸高で求められます。

文中の数字をこれに当てはめると、売上原価は100万+1000万-200万=900万です。900万円の売上原価を、売上総利益の式に代入して、1500万-900万=600万が答えになります。


問20
次の損益計算資料から求められる経常利益は何百万円か。

項目 金額
売上高 2,000
売上原価 1,500
販売費及び一般管理費 300
営業外収益 30
営業外費用 20
特別利益 15
特別損失 25
法人税、住民税および事業税 80
[ア]120
[イ]190
[ウ]200
[エ]210
経常利益 = 営業利益営業利益+ 営業外利益 – 営業外費用
営業利益 = 売上総利益 – 販売費および一般管理費

図中の数値を上記の式に代入すると、下記のようなものになります。
売上総利益 = 2,000 – 1,500 = 500(百万円)
営業利益 = 500 – 300 = 200(百万円)
経常利益 = 200 + 30 – 20 = 210(百万円)